原文は英語で、これはその翻訳です。

GNUアフェロGPLの理由

GNUアフェロ一般公衆ライセンスは通常のGNU GPLバージョン3を改変したバージョンです。これには一つ要求が加わっています。サーバで改変したプログラムを動かし、そこでそのプログラムとほかのユーザに通信させる場合、サーバはユーザにそこで動いている改変バージョンに対応するソースコードのダウンロードも許可しなければいけない、というものです。

GNUアフェロ一般公衆ライセンスの目的は、サーバでしばしば使われる自由なプログラムの開発者に関わる問題を防止することです。

あなたが通常のGNU GPLで自由なプログラムを開発し、リリースしたとしましょう。ある開発者Dがプログラムを改変してリリースした場合、GPLはかれのバージョンもGPLで配布することを、かれに要求します。ですから、あなたがかれのバージョンのコピーを得た場合、あなたはあなたのバージョンにかれの変更を一部、もしくはすべて取り込むことが自由にできるのです。

しかし、プログラムが主にサーバで有用なものだとしましょう。Dがプログラムを改変した時、かれ自身のサーバでかれがそれを実行するけれどもコピーをリリースしないことは十分ありうることでしょう。その時、あなたはかれのバージョンのソースコードのコピーを得ることができず、かれの変更をあなたのバージョンに含める機会がないかもしれません。そして、あなたはその結果を好まないかもしれません。

GNUアフェロGPLを使うと、この結果を避けることができます。Dがかれのバージョンを誰もが利用できるサーバで動かした場合、あなたもそれを利用できるでしょう。かれがライセンスの要求に従い、サーバのユーザにかれのバージョンのソースコードをダウンロードさせるようにさせたと仮定すると、あなたはかれの変更をあなたのバージョンに組み込むことができるでしょう。(もしかれがそれに従わない場合、あなたの弁護士は、かれに対して苦情を言えます。)

通常のGNU GPLバージョン3とGNUアフェロGPLの両方に、一つのプログラムにこれらの二つのライセンスのモジュールを一緒にリンクすることを認めるテキストがあります。

GNUアフェロGPLはソフトウェア代替としてのサービス(SaaSS)の問題を扱いません。

SaaSSは誰かのウェブサーバをユーザがかれら自身のコンピューティングために使うことを意味します。ここでは、かれらのデータをサーバに送ることが必要で、サーバはかれらのコンピューティングをしてくれて、その結果をかれらに送り返します。この方法ではユーザがかれらのコンピューティングのコントロールをできないので、SaaSSは不公正です。

GNUアフェロGPLでサーバのあるプログラムがリリースされている場合、そのサーバはユーザに、そのプログラムの対応したソースを提供する必要があります。それは良いことですが、そのソースコードを持つことでは、サーバがかれらに行うコンピューティングを、かれらがコントロールすることにはなりません。また、ほかのソフトウェアがサーバで動いていて、かれらのデータをその他の方法で検査したり変更したりするかもしれないことについては、なにもわかりません。

SaaSSの問題を特定のプログラムのライセンス条件で扱う意味のある方法を、わたしたちは知りません。SaaSSの使用とSaaSSではない使用を区別する法的な条件を書くことだけでも難しい課題でしょうし、それができたとしても、プログラムのライセンスがSaaSSのケースで要求できることで、なにかSaaSSの本質的な間違いを修正できることがあるのか何もわかってません。ですから、SaaSSの問題に対するわたしたちの解は単純です: SaaSSであるサービスを使うことを拒絶する、のです。

プログラムが特にSaaSSだけを意味している場合、それを書くべきではありません。しかし、多くのプログラムは、多様なサービスで有用であり、そのうちいくつかはSaaSSであり、いくつかはそうではないでしょう。このようなプログラムを書いてリリースし、人々がSaaSSではないサービスを設置できるようにするのは、有用であり、AGPLでリリースするのはよいでしょう。